イベント運営、ネットで楽々 告知からチケットまで
来週から新年度。新しく加わったメンバーの歓迎会を開く職場も多いだろう。そんな時に幹事が重宝しそうなイベント支援サービスが増えている。交流サイト(SNS)などを通じて開催を告知でき、会費集めや出欠管理を簡単にする機能もあるため、開催者の運営負担が軽くなる。IT(情報技術)系の勉強会などで使われてきたが、最近は歓送迎会や音楽イベントなどへの活用も目立つ。
慶応義塾や法政など首都圏にある10以上の大学の学生でつくる団体「SEEK」が都内で23日に開いた新入生の歓迎パーティーには約400人が集まった。チケットの大半は紙に印刷してSEEKのメンバーらが販売したが、一部はイベント支援サービス「PeaTiX(ピーティックス)」経由で電子チケットとして販売した。フェイスブックやツイッターを通じて仲間にイベントを知ってもらい、参加者を募った。
QRコードで入場
料金は男性が3000円、女性が1500円だが、前払いのため当日にお金のやりとりはない。スマートフォンなら電子チケットを保存でき、利用者はイベント会場で画面に表示するQR(2次元)コードと受け付け番号を見せるだけで出席確認ができる。QRコードはチケット購入者一人ひとりに発行するため、なりすましも防げる。
幹事団の一人、安部直樹さん(22)は「ピーティックス経由で売ったチケットは受け付けが非常に楽だった」と話した。利用手数料は事前決済の機能を使うと1人当たりチケット金額の2.9%+70円。同サービスを提供する米PeaTiX(カリフォルニア州)が、個人も使いやすいよう2月に6%+70円から引き下げた。「手数料が下がったので、我々のような学生も利用しやすい」と安部さん。
ピーティックスは2011年5月にサービスを始め、累計利用件数は約6000件。同社によると参加人数が50人以下のイベントが大半を占めるが、集客した人数は合計で10万人を上回った。
リクルートライフスタイル(東京・千代田)の「イベントアテンド」は開催イベントを同サービスのサイトでも検索できるようにしており、幅広い層の参加者を募りやすい。京都大学の大学院生(24)は同サービスを使って30日に京都・鴨川で開く花見イベントに参加する人を集めた。「友人や知り合いはもちろん来るが、直接面識がない人から色々な話を聞けることを楽しみにしている」と話す。
東京都の会社員、中西崇之さん(30)は4月上旬にスマホアプリのデザイン講座を開こうと参加者を募った。「イベント告知用のサイトをブログを書く感覚で作れる手軽さがいい」
企業も個人も活用
従来はこうしたIT関連のセミナーや勉強会などを開く際に利用する人が多かったが、最近は「音楽家たちの晩餐会(ばんさんかい)」「アニメ・マンガ好きの婚活パーティー」などにも利用が広がっている。集金機能を使わなければ無料のため、イベント紹介件数は月に1千件を上回る。結婚式の2次会などにも使われている。
「Live Styles」(東京・港)が提供している「ティクシー」は、スマホ画面に表示するチケットを紙のように「もぎる」仕組み。イベントに来た人を入り口で待たせることなく、会場に案内することができる。音楽イベントなどで利用すると便利だ。
シンガー・ソングライターの湯川潮音さんが16日に神奈川県鎌倉市の「西御門サローネ」で開いたミニコンサートは、約60枚のチケットをすべてティクシー経由で販売した。「受け付けが少人数でもお客さんはスムーズに入場できた。主催者、参加者双方にストレスが少ないのがいい」。コンサート開催を手伝った女性スタッフ(46)は同サービスに満足そうだった。
こうした支援サービスは主にSNS経由でイベントを告知するため、関心や興味が共通する友人や知人の参加を募りやすい。企業のセミナーから職場でのイベント、個人が開く交流会まで、活用の場面も広がりそうだ。
(消費産業部 上野宜彦)
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